「カナモジダケノブンショウナンテヨミニククテトテモツカエナイ」
ですね、こんな書き方では ……。でも次の3つのポイントをおさえれば、読みやすく分かりやすいカナモジ文を書くことができます。
ポイント1 分かち書き(わかちがき)をする。
「スモモモモモモモモモモモモニモイロイロアル。」
これでは、何のことか分かりません。カナモジだけで文章を書くには、
「スモモ モ モモ、モモ モ モモ、モモ ニ モ イロイロ アル。」のように単語と単語の間、または文節と文節の間にスペースを入れる必要があります。これを「分かち書き」といいます。英語では、いうまでもなく分かち書きをしています。
「Iwillavailmyselfofyourkindoffer.」のようにスペースをいれないベタ書きをしては読みにくいですから。現代の言語でベタ書きをしているのは、日本語のほかは、中国語、タイ語ぐらいのものです。日本語でも点字の文章は分かち書きによって書かれています。分かち書きは、カタカナ文でもひらがな文でも守らなければならない原則です。
なお、ヨーロッパの言語も、かつてはベタ書きをしていました。スペースを入れて読みやすくする分かち書きは、必要から生まれた進歩した書き方なのです。
分かち書きはだれでもできます。特にルールを覚えなくても直感でできます。ただ、書く時に迷わず、読み手が早く正確に読み取れるカナモジ文を書くためには、ルールを覚えておくのが望ましいでしょう。これについては、〈
標準分かち書き〉をご覧ください。
(日本語をカナやローマ字で書くときの分かち書きのしかたは、英語のようには、はっきりと決まってはおらず、人によって違うところもありますが、基本的なところはほぼ慣習が固まっています。)
〔参考〕
カナモジ文は「分かち書き」をするから難しいか?
ポイント2 カナモジ文用の書体(フォント)を使う。
カタカナの文章の読みやすさは、書体(フォント)によって大きく左右されます。カナモジ文用にデザインされた「カナモジ書体」(ツルコズ、アラタ)を必ず使いましょう。くわしくは、〈
カナモジ書体とは(PDF)〉をごらんください。
ひらがなの文章も書体によって読みやすさに違いがでるようなので、いろいろ試してみてください。
この2つのポイントをおさえて書けば、かなり読みやすくなります。それでもカナモジ文に慣れない人には違和感があるでしょうか。それは当たりまえのことです。日本人は、コドモのときから漢字カナまじり文を読み、書いてきましたから、それと違った文章を見て、シックリとこないのは当然です。漢字カナ交じり文も初めから読みやすかったわけではありません。要は、「慣れ」の問題です。カナモジ文も慣れれば楽に読めるようになります。
ポイント3 言いかえ(コトバ選び/コトバ直し)をする。
分かち書きをしてカナモジ文用の書体を使えば、「読みやすい」文章にはなりますが、さらに、「分かりやすい」文章にするには、もうひとつ大切なポイントがあります。漢字で書かないと意味が分からなかったり、取り違えられるおそれのあるコトバを避け、耳で聞いてわかるコトバに言いかえ(コトバ選び/コトバ直し)をすることです。「センシュ スル」(先取する)ではなく、「サキドリ スル」または「サキ ニ トル」と書きましょう。「バイカ」では「売価」か「買価」か分かりません。「ウリネ」、「カイネ」と書きましょう。「社則」、「校則」、「園則」、「会則」、「党則」など、必要のない区別はやめ、「カイシャ ノ キソク」、 「ガッコウ ノ キソク」などのようにするのがよいでしょう。〈
コトバえらび(なおし)のココロミ〉も参考にしてください。)
(『カナノヒカリ』 959ゴウ 2015)