「カナノヒカリ」 932ゴウ (2006ネン ナツ)

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国語国字問題Q&A

同音異義語の区別に不可欠な漢字の廃止は不可能?

                                             ユズリハ サツキ 


   
   日本語には、同音異義語が たくさん あるが、漢字を つかわなければ 区別が できない。だから 漢字の 廃止など 不可能で あろう。

  
 1.日本語には、おびただしい 同音異義語が ある ことは 事実 ですが、その おおくは 文脈で 判断 できる もの です。たとえば、「ザッシ ヲ ハッコウ スル。」と カナで かいても、「ハッコウ」を 「発光」や 「醗酵」などと とりちがえる ことは ない でしょう。

  2.とはいえ、漢字で かかなければ 意味が わからなかったり、意味を とりちがえたり する コトバが ある ことも 事実 です。たとえば、「シリツ ノ チュウガッコウ ヘ カヨッテ イル。」と いう 文では、「シリツ」が 「私立」 なのか 「市立」なのか 区別 できません。このような バアイは、「ワタクシリツ」、「イチリツ」 の ように イイカエを すれば よいの です。

  漢字で かけば 必要の ない、このような イイカエを わざわざ するのは ムダな こと でしょうか? カナで かいて わからない、と いう ことは、ミミで きいて わからない、と いう ことでも あります。ですから、「カナで かいて わかる」=「ミミで きいて わかる」 コトバに いいかえて いく ことは、ハナシコトバを より つかいやすい ものに 進化させて いく ことでも あり、おおいに 意義の ある こと です。

  3.同音異義語は、ヤマトコトバ(和語)にも 漢語にも あります。しかし、文脈で 区別 できない 同音異義語の おおくは 漢語 です。同音異義の 漢語が おびただしい カズに のぼる 原因は、漢字は 本来 中国語を かきあらわす ための 文字で ある、と いう ことに あります。

  漢字の 音ヨミは、中国語が 日本式に 「なまった」 もの ですが、中国語と 日本語と では、オトの 性質が 大変に ことなって います。中国語は 基本的に 単音節語で あって、音インが 日本語よりも ずっと おおく、また、声調と よばれる アクセントも 発達して いるので、同音語の ハンランは おきないの ですが、日本語での 漢字は、オトの カズが きわめて かぎられて います。

  口、工、巧、広、弘、交、光、好、考、坑、孝、江、抗、肯、厚、孔、恒、荒、候、高、耕、康、幸、甲、向、航、港、鉱、酵、公、功、行、攻、更、効、洪、紅、郊、香、校、貢、降 などは いずれも、日本語での 音ヨミでは 「コウ(コー)」と 発音し、ミミで きいて 区別 できませんが、中国語では、これらは すべて ことなる オトで あって、ミミで きいて 区別 できるの です。ローマ字で かけば(現代の 共通語〈普通話〉の 発音では)、口は kou、工は gong、巧は qiao、広は guang、弘は hong、交は jiao、光は guang、好は hao、考は kao、坑は keng、孝は xiao、江は jiang、抗は kang、肯は ken、厚は hou、孔は kong、恒は heng、荒は huang、候は hou、高は gao、耕は geng・・・と なります(声調符号は 省略)。

  これは、英語の 「bath」も 「bus」も 「bass」も 日本式に 発音すると みな 「バス」に なって しまうのと おなじ こと ですが、中国語と 日本語の 関係に なると、これが 極端に なって しまうの です。

  また、中国語の 音節を つくる オトの クミアワセには、中国語 特有の ルールが あって 制限された ものに なって いるので、それを 日本語式の 音に すると 音節の クミアワセは 極度に かぎられた ものに なります。たとえば、「コ」で はじまる 音は、「コウ(コー)」、「コク」、「コツ」、「コン」の 4ツ だけに なって しまって います。

  4.要するに、漢字を つかうから 同音異義語が おおく なったので あって、「同音異義語が おおいから 漢字が 必要だ」 と いうのは カンガエカタが サカダチ して いるの です。同音異義語が ふえる ことは、決して のぞましい ことでは ありませんが、漢字を つかって いる かぎり それを とめる ことは できません。



【参考】 ◆国語問題としての 同音語問題 (国語国字問題講座 第9講)


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