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障害者(しょうがいしゃ)」 「(しょう)がい(しゃ)」 「障碍者(しょうがいしゃ)
フジワラ タダシ 
 ちかごろ、「障害者」という表記を「障がい者」に改める動きが自治体や福祉団体をはじめさまざまな方面で広がってきた。「害」という字がマイナスのイメージをもつため、ひらがなに替えたものである。
 しかし、これに反対する人たちもいる。いわく、「ひらがな書きの『がい』には、意味がない。」「この『がい』とは何か、と聞かれたら、『害』だと答えるしかないから同じこと。」と。ナンセンスな主張である。この場合、「がい」だけでは意味をもたないように見えるが、それは「しょうがいしゃ」というコトバの一部を抜き出したものだからである。〔「handicapped」の「cap」は何かと聞かれたら「それだけでは意味をもたない。」としか答えられない(語源の説明を求められているのでなければ)のと同じことである。〕「しょうがいしゃ」というコトバを知っていれば、「障がい者」で十分意味は通じる。また、もとの漢字は何かと問われるようなことは、まずないことである。
 こういう人たちは、概して漢字が大好きで交ぜ書きが許せないのである。だから、「『障害者』が良くないなら、『障碍者』にしろ。」などとのたまう。そして、「当用漢字による漢字制限によって『碍』という字が使えなくなり、『害』を代用したことがこの問題を引きおこした原因だ。」と主張する。しかし、これは間違い(そうでなければウソ)である。「障害」も「障碍」も戦前から使われていたし、一方、「障害者」、「障碍者」という言い方はなかった。
 われわれの立場からいえば、漢字語ではなくヤマトコトバを使えばよいのだ、ということになるが、障害者を表すヤマトコトバはことごとく「差別語」のレッテルを張られ、「言葉狩り」の対象になってしまった。
 デリケートな問題であるので、具体的な解決策をここでは提案しない。ただ、わたしは「障がい者」が最善のものとは思わないが、悪いものとも思わない。交ぜ書きが見苦しいというのなら「しょうがい者」がよいだろう。(2010/03/31)

 (『カナノヒカリ』 947ゴウ 2010ネン) (一部書き改めた。)

(このページおわり)