外国語を訓読みする
つかはら よしお
日本語の 「とぶ」と いう ことばに あたる 中国語には 「ショウ(翔)」「チョウ(跳)」「ヒ(飛)」 などが ある。 英語なら, それぞれ FLY;SOAR;JUMP;LEAP;SPRING;SKIP など だろう。
「あわてて とんでゆく」 なら この 「とぶ」は HASTENか。
そこで 中国語を 訓読み(クンよみ) すると,「翔ぶ」「跳ぶ」「飛ぶ」と おくりがな 「ぶ」を そえて 「ショウ(翔)」「チョウ(跳)」「ヒ(飛)」を 「と」と よむ。
おなじように 英語を 訓読み すると, FLYぶ;SOARぶ;JUMPぶ;LEAPぶ……などと, おくりがな 「ぶ」を そえて FLY;SOAR;JUMP;LEAP を
「と」と よむ ことに なる。
そして, FLYと JUMPとは 意味が ちがうのだ, 飛と 跳とが 意味が ちがうように などと いうのである。
それにしても FLYも JUMPも SOARも みんな 「と」と よむのは いい こと だろうか。
見る;観る;視る;看る;診るなども, 中国語の かわりに 英語を つかうと SEEる;LOOK(AT)る;GLANCEる;WITNESSる;WATCHる;STAREる;GAZEると なる。
SEEも LOOKも GLANCEも みんな 「み」と よむのである。
訓読み とは そういう よみかたで ある。
(『カナノヒカリ』 753ゴウ 1985ネン 4ガツ)
(このページおわり)