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 標準(ひょうじゅん)()かち()き(2022(ねん) 改訂(かいてい)
【まえがき】 この『標準分かち書き』は、現代の日本語をカナまたはローマ字で書き表わすための「分かち書き」のよりどころとして提案されたものである。

       分かち書きの規則

【1】ひとつの単語は、ひとつづりに書く。
ただし、【3】【4】の場合をのぞく。
 (例) ヤマ, ノボル, オオキイ, コノ, トテモ, ソシテ, マア, ヲ, デス
〔注1〕複合語もひとつの単語であるので、【4】(1) (2) の場合をのぞき、ひとつづりに書く。
 (例) ハナタバ(複合名詞), オモイダス(複合動詞)
〔注2〕接頭語・接尾語は、単語を構成する要素であるので、【4】(3) の場合をのぞき、それがつく単語と合わせてひとつづりに書く。
 (例) チャ, ヨワイ (接頭語); アリガタ, ロンリテキ (接尾語)

【2】単語と単語の間は、分けて書く。
ただし、【5】【6】の場合を除く。
 (例) タイヨウ ハ ヒガシ カラ ノボリ、 ニシ ニ シズム。
〔注1〕連語・句は、単語の連なりであるので、それを構成する単語ごとに分けて書く。
 (例)デ アル, トホウ モ ナイ, クチ ヲ ハサム, ネコ ニ コバン
〔注2〕補助動詞〔もとの意味を失って、他の単語につづいて補助的な役割をしている動詞〕もそれ自体ひとつの単語であるので、前の単語から分けて書く。
 (例) ハル デ アル, ハナシテ ミル, オシエテ アゲル, ゴラン クダサイ, オユルシ イタダク, ケンキュウ ナサル
◆ただし、接頭語「お」のつかない動詞の連用形につづくときは、合わせて複合動詞とみて、ひとつづりに書く。
 (例) ヨミナサル, ヨミナサイ, ヨミ
 〔「なさい」は「なさる」の命令形。「な」は「なさい」の省略形。〕

【3】次のコトバは、語幹と語尾をそれぞれ単語とみて分けて書く。
(1)形容動詞および形容動詞型活用の助動詞
 (ア)形容動詞
 (例) シズカ ダ, シズカ ナ, シズカ ニ
 (イ)形容動詞(トタル活用)
 (例) ドウドウ タル, ドウドウ ト 
 (ウ)助動詞「そうだ(様態)、そうだ(伝聞)、ようだ、みたいだ」
 (例) ハレソウ ダ, ハレル ソウ ダ, サムイ ヨウ ダ, オクレル ミタイ ダ
〔注〕「そうだ(様態)」の「そう」は接尾語、その他の語幹は名詞、語尾は断定の助動詞とみる。

(2)副詞のうち、語尾「に、と」を含むもの
 (例) イッセイ ニ, ピカピカ ニ; シッカリ ト, ハッキリ ト
〔注〕語幹は名詞または副詞、語尾は助詞とみる。
◆ただし、語幹に自立性がない(現代語の単語として用いられることがほぼない)ものは、融け合って1語の副詞になっているものとみて、ひとつづりに書く。
 (例) サラニ, スデニ, トクニ; オノズト, チョット, モット

【4】次の単語は、それを構成する要素の間を分けて書く。
(1)活用しない複合語で、おおむね7拍以上のもの
(どの部分もおおむね6拍以下になるように分ける。)
〔基本的にカナ1字が1拍であるが、「っ」を除く「ゃ、ゅ、ょ」などの小書き文字は、その前のカナと合わせて1拍である。〕
 (例) ウチアゲ ハナビ, コウソク ドウロ, オレンジ ジュース
◆6拍以下のものであっても、読みやすくするため、適宜分けて書くことができる。
 (例) シゼン カガク, ロジョウ チュウシャ (漢字2字以上の漢語複数から成る語);
   モダン バレエ, キャッシュ カード (「カタカナ語」);
   デンシ レンジ, カシキリ バス (混種語)
◆なお、意味を取り違えられる恐れのない場合、語の本来の組み立てにかかわらず、読みやすい分け方にすることができる。
 (例) エイギョウ ブチョウ (<(エイギョウ+ブ)+チョウ)

(2)複合サ行変格活用動詞〔語幹と語尾「する」を構成要素とする動詞〕
 (例) ウワサ スル, トク スル, ハンダン スル, デザイン スル; マットウ スル; ユックリ スル
◆ただし、次のものは、語幹と「する」を合わせてひとつづりに書く。
 (ア)語幹が漢字1字の漢語で、かつ語幹と「する」の間に助詞「を」をはさむことができないもの
 (例) アイスル(愛する), キスル(期する)
 (イ)語幹が促音で終わるもの
 (例) ホッスル; タッスル(達する)
 (ウ)語尾が「ずる」になっているもの
 (例)オモンズル; オウズル(応ずる)
◆なお、複合サ行変格活用動詞の語幹に他の動詞がつづくときも同じように分けて書く。
 (例) ハンダン イタス, ハンダン デキル, ハンダン ナサル

(3)接頭語・接尾語・造語成分を分けて書いたほうが読みやすくなるもの
 (ア)接頭語・接尾語・造語成分が実質的に単語としての役割をはたすとき
 (例) ゼン カイチョウ (連体詞的), チョウ オモシロイ (副詞的), シンブン、 ザッシ トウ (助詞的)
 (イ)接頭語・接尾語・造語成分(助数詞をのぞく)が固有名詞・数詞などの前後につくもの
 (例) ダイ デュマ, ヨシダ サマ, ヤマダ タチ; ダイ 1カイ, 3ワリ ジャク; ハンチョウ サン 

【5】活用する単語の仮定形・未然形・連用形につづく接続助詞・助動詞は、前の単語と合わせてひとつづりに書く(単語として扱わない。)。
 (例) アルケ(仮定形につづく接続助詞);
アルイタリ, アルイ, アルキナガラ, アルキツツ (連用形につづく接続助詞);
アルカレル, タベラレル, アルカセル, タベサセル, アルカナイ, アルカ, アルコ, タベヨウ, タベマイ (未然形につづく助動詞);
アルキタイ, アルキタガル, アルイ, アルキマス (連用形につづく助動詞)
◆ただし、接続助詞「ても(でも)」は、原則として、「て(で)」と「も」を分けて書く。
 (例) アメ ガ フッテ モ イク, タノンデ モ ヤッテ クレナイ
〔注1〕接続助詞「ながら」が形容詞(型活用語)につづくときは、連体形につづくので、前の単語から分けて書く。
 (例) セマイ ナガラ, メダタナイ ナガラ
〔注2〕形容詞(型活用語)や助動詞「だ」の連用形につづく「ない」は、形容詞であるので、前の単語から分けて書く。
 (例) サビシク ナイ, オダヤカ デ ナイ, オトナ デ ナイ
〔注3〕助動詞「まい」が終止形につづくときは、前の単語から分けて書く。
 (例) フセイ ヲ ユルス マイ

【6】助詞「へ、に、で、と」、助動詞「だ」の連用形「に、で」のいずれかの後に助詞「は、も、の」のいずれかがつづくときは、原則として、合わせてひとつづりに書く。
 (例) ココ ヘハ キタ, カレ ニモ ハナシタ, ジョウブ デハ アル

【7】次の場合は、適宜ハイフンを用いて書くことができる。
(1)活用する語でつづりが長いとき
 (例) ハタラキ-ツヅケル (複合動詞), オモシロ-オカシク (複合形容詞), タシカメ-ラレナカッタ (動詞+複数の助動詞)

(2)その他、意味を取りやすくするとき
 (例) ゼン-セイキ (前世紀), ゼンセイ-キ (全盛期), フク-シブチョウ, オリタタミ-シキ, カンサイ-フウ, ムヤミ-ヤタラ, ノッシ-ノッシ 

【8】特殊な場合は、この規則の理念を踏まえつつ適宜に書いてよい。
 (例) ワカッテ ル / ワカッテル (< ワカッテ イル)(音韻のくずれた形);
イワズ モガナ / イワズモガナ, ス ベキ / スベキ (文語的な言いまわし);
アナイ ニ / アナイニ (方言)

【9】ひとつづりに書くか、分けて書くか、迷うときは、分けて書く。