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文章(ぶんしょう)をカナだけで()くと、文字数(もじすう)(おお)くなり不便(ふべん)か?
ユズリハ サツキ 
 【漢字廃止論への批判】
 「よみがえる」を仮名で書くと5字が必要であるが、漢字で書けば「甦る」となり、2字で済む。仮名だけの文章は、漢字仮名交じりの文章より字の数が多くなるから、字面も長くなり、ページ数も増える。これは不便であり、また、資源の無駄にもなるであろう。

 【反論】
 質問者がおっしゃるように、通常漢字で書かれるコトバをカナ(ひらがな/カタカナ)で書けば字数が増えます。ただし、「甦る」→「よみがえる」(2字→5字)のように大幅に字数が増える場合はそう多くなく、また、「飛ぶ」→「とぶ」(2字→2字)のように変わらない場合も少なくないので、何倍にもということではありませんが、全体として字数が多くなることは事実です。

 また、カナの文章では、読みやすくするために単語と単語の間にスペースを入れます。「フユ ガ サリ、 ハル ガ キタ。」(この書き方を「分かち書き(ワカチガキ)」といいます。)そのスペースの分の幅も必要になります。

 しかし、カナモジ(カタカナ)で文章を書くときに増える字やスペースがそのまま文章を書き表す紙や画面の広さに反映するかというと、そうはなりません。

 ワープロには、「半角カタカナ」という種類の文字があり、単語の長さを縮めるのに使われることがあります。〔中略〕 このことがヒントになりませんか?

 カタカナの多くは、漢字の一部から作られたものです。「ア」は「阿」の、「イ」は「伊」の左、「ウ」は「宇」の上の部分です。したがって、カタカナは必ずしも全角を使う必要がありません。横書きの場合は、縦長にしてもたやすく読み取ることができます。(横幅を半角(50%)にまでするのは、行き過ぎかもしれませんが。)縦長の字を使えばば字ヅラの長さを大幅に縮めることができます。〔そのためにはカナモジ文用の書体(フォント)が必要ですが。〕

 それだけではありません。カタカナには、画数がとても少ない、という特徴があります。上に述べたカタカナの由来によるものです。漢字の字形は、たとえば、画数のそれほど多くない「空」や「治」でさえ、カタカナ3字分の要素からなっています。ということは、漢字を用いる文章よりもカナモジ文のほうが字の大きさ(ポイント)を小さくすることができるということです。

 カナモジ文では、字を縦長に、そして、小さくしても楽に読むことができる。このことによって、字数が増えても文章の占める面積が広がることを避けることができます。例を示します。〔中略〕

 カタカナの性質をうまく利用することによって、このようなことが可能になる。このことも、わたしたちがひらがな専用でなく、カタカナ専用を主張してきた理由のひとつです。〔ただし、現在では、タイプライターの時代と異なり、ひらがなの書体(フォント)も縦長にするなどの工夫ができるようになっています。〕
 
 【ツケタシ】
 「よみがえる」を「甦る」または「蘇る」と書けば、短くて済むので便利だ、と感じる人は多いようですが、このようなことは、日本語を大切にしようとする立場からいえば、望ましいことではありません。
  漢字で書くとしたら、「黄泉帰る」とでもしたほうがまだマシです。「よみがえる」 は、「黄泉(よみ)(死者の世界)から帰る」という意味ですから、「甦」「蘇」と同じ意味ではないのです。「甦」「蘇」という字の由来の説明は省略しますが、古代の中国人の発想から作られたものであって、もともとの日本語の発想とは無縁なものなのです。漢字で日本語を書き表わすことは、日本語を滅ぼすことなのです。

 *このページでは、原文の一部を省略しています。原文(PDF)はこちらから。

 (『カナノヒカリ』 947ゴウ 2010ネン ハル) (一部書き改めた。)

(このページおわり)