漢字を廃止したら、書道が滅びる?
ユズリハ サツキ
【漢字廃止論への批判】
漢字を廃止したら書道はどうなるか。かなの書もあるが、それは書道の一分野に過ぎない。漢字なくして書道は成り立たない。わたしは書道をたしなむ者として漢字の廃止に反対する。
【反論】
よく誤解されることですが、わたしたちは漢字を抹殺せよ、と主張しているのではなく、日常生活での読み書きは、カナだけでできるようにしよう、と訴えているのです。ですから、個人的に書く文章や、書道など特定の分野での漢字の使用にまで反対しているのではありません。
このように考えてください。毛筆は、今は日常生活ではほとんど使われません。しかし、書道などでは用いられており、毛筆の文化が滅びたわけではありません。漢字についても同じことが考えられます。日常生活で使われなくなっても、書道など漢字を必要とする分野では、生き続けるでしょう。
もうひとつタトエをしてみましょう。日本の伝統的な服は和服ですが、現在、日常生活では通常洋服が用いられています。洋服のほうが機能的で、現代生活に適していますから当然のことといえます。と、いって、和服が滅びたわけではありません。若者でさえ、成人式など改まった席などでは和服を着ることもあります。
服は、和服の文化を損なうことなく、洋服へ切り替えることができたのですから、文字も、漢字の文化を絶やすことなく、より機能的・合理的なカナモジ専用に切り替えることができるはずです。もっとも日本語は漢字依存症ともいうべき病的な状態ですので、一挙にというわけにはいかず、健康を回復させながら、というにとになりますが。
(『カナノヒカリ』 934ゴウ 2007ネン フユ)
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