「カナノヒカリ」 946ゴウ (2010ネン フユ)         

トップページ > 機関誌「カナノヒカリ」 / カナモジカイの主張 /  国語国字問題Q&A 


国語国字問題Q&A

漢字で書かなければ意味が通じないか?

                                             ユズリハ サツキ 


   
   「ち密」の 「ち」とは なにか? ヒラガナの 「ち」に 意味は ない。 「緻密」と 漢字で かいて こそ、この コトバは 意味を もち、通じるのでは ないか。


  
 「交ぜ書き」に 反対する タチバ からの ご質問で あると おもいます。 「緻」と いう 漢字は、常用漢字では ないので マゼガキを して 「ち密」と 表記する ことが しばしば あります。

  さて、「ち密」では 本当に 意味が 通じない でしょうか。 質問者 自身 そうは 感じて いらっしゃらない でしょう。 「ち密な 細工」で 意味が 通じませんか? 通じる のは、 もとの 「緻密」と いう 漢字表記を しって いるからだ、と 反論されるかも しれませんが、質問者は そうで あったと しても、スベテの ヒトが そうで あるとは いえない でしょう。

  むしろ、逆に、最初に オトから コトバを おぼえ、アトから 表記を おぼえるのが 普通では ない でしょうか。 たとえば 「しょうゆ」と いう コトバは、おさない ころから しって いて、やがて 「しょう油」と いう 表記を 覚えます。 「醤」は、常用漢字では なく、むずかしい 字ですから カナガキ する ことが おおいの です。 そして、大概の ヒトは さらに 「醤油」と いう 表記も おぼえます。「しょうゆ」と いう コトバよりも 「醤油」と いう 漢字表記を サキに おぼえる などと いう ことは まず ありえません。 「ちみつ」に ついても おなじ ことが いえる でしょう。

  とはいえ、ヒラガナの 「ち」に 意味は ない、と いう 主張には 漢語に かぎっては 反論は しません。 「ちな 細工」では たしかに 意味は わかりません。 「ち」と 発音する 漢字が あまりにも おおいから です。 「ち」から どう いう 漢字を おもいうかべるかで 意味が まるで ちがって きます。 「緻な」と とるか 「値な」と とるか、 あるいは 「知な」か「痴な」か「恥な」か。 漢語の 「ち」に 意味が ないのは アタリマエ です。 漢字の 音は おおくの バアイ、それ 自体では 意味を しめす ことが できず、文字で かきあらわした ときに はじめて 意味が あきらかに なるの です。 また、文字で かきあらわした ときでも それは 造語成分で しか ありません。

  漢字の 音 「ち」が コトバでは ありえなくても、「ち密」は コトバとして 通用して います。 同音異義語が なく、ミミで きいても わかるから です。 しかし、なかには、わからない ヒトも いるかも しれません。 それは、「ち」に 意味が ないから では なく、「ちみつ」が 日本語と しては あまり 生活に 密着して いない コトバ だから です。 通じやすい コトバとは、「ち密」の ような かたい コトバでは なく、「こまかい」「くわしい」「手の こんだ」 など、やさしく、わかりやすい コトバなの です。

  ただし、「ち」と いう コトバが ない わけでは ありません。 「ちの めぐり」 の 「ち」、「ちばなれ」の 「ち」。 どちらも 漢字で かかなくても 文脈から 意味が たやすく わかる 立派な コトバ です。 漢字で かけば、「血」「乳」 ですが、両方とも 和語(ヤマトコトバ) です。

  同音語が 問題に なるのは、おもに 漢語なの です。 ウエに 音だけの 「緻」や 「値」などは コトバでは ないと かきましたが、正確に いえば、日本語の コトバとは いえない と いう ことで、漢字の 本家 中国語では、それらは まぎれも ない コトバなの です。 それが なぜ 日本語では コトバに なりえないか、と いうと、日本語と 中国語では コトバの オトの 性質が ちがうから です。

  日本語では 「ち」の 音を もつ 漢字と して あげた 「緻」「値」「知」「痴」「恥」は、中国語では、それぞれ 区別して 発音されるの です。 それを 日本式に 発音すると みんな 「ち」に なって 区別が できなく なり、コトバと しての ハタラキを うしなって しまうの です。 (日本語で 区別できなく なる 理由は ここでは 省略 します。) 中国語にも 同音語は ありますが、日本語ほど おおくは ありません。

  【マトメ】 「ちみつ」と いう コトバを しって いれば、「ち密」でも 意味は 通じます。 「緻密」と かかなければ わからないと すれば、それは、日本語と して あまり ミヂカでは ない ためで あって、もっと わかりやすい コトバを つかうべき なの です。