「カナノヒカリ」 939ゴウ (2008ネン ハル)

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戸籍の字体の整理は、不徹底だ

                                             フジワラ タダシ 


   
  2007年 アキ号で 紹介しました ように、戸籍事務が コンピューター化され、ヨコガキで 処理される ことに なり、戸籍関係の 証明書も ヨコガキの ものが 交付される ように なりました。

  この ことは、ヨコガキを すすめる ワタシタチに とって 歓迎すべき こと ですが、戸籍事務の コンピューター化は、もう ヒトツ 日本国民に とって よろこばしい ことを もたらしました。 それは、戸籍に 記載されて いる 漢字の 「異体字」が 整理される ことに なった こと です。

  あらたに 戸籍を 編成する とき などに、誤字・俗字で 記載されて いる 氏 または 名を 「正字」で 記載する ことは、すでに 1990(H2)年に だされた 法務省の 通達(*1)に よって できる ことに なって いました。 さらに、戸籍法の 改正に よって、1994(H6)年 には、戸籍事務を コンピューターを もちいて おこなう ことが できる ことに なりましたが、コンピューター化の 際には 異体字の 整理も 同時に おこなわれます。 イマでは それを おえた 市区町村が 70%に 達して います。

  戸籍で もちいる 文字の 字種と 字体に ついては、コンピューター化に ともなって あらためられた サキの 通達や 通達に よって しめされた 「誤字俗字・正字一覧表」(2004(H16)年に 人名用漢字が ふやされた ことに ともない 一部 改定されて いますが、 実質的な 変更は ありません。)(*2) などに よる ことと され、今日に いたって います。

  イマは、コドモが うまれた ときに つけられる ナマエ(名)は、つかえる 漢字が 常用漢字と 人名漢字に かぎられて おり、字体にも 制限が ありますが、ミョウジ(氏)は、代々 ひきつがれて いくので、ボウダイな カズの 異体字が 戸籍に つかわれて いました。 本人が もうしでるか、市区町村長が 戸籍の トドケデを 受理 する ときに 職権で なおさない かぎり、そのまま 戸籍に のこって いたの です。

  実は、ワタシの ミョウジも 戸籍には すこし かわった 漢字が のって いました。 クサカンムリが マンナカで きれて いて、「十」を フタツ ならべた ような カタチに なって いたの です。 ワタシは こんな 変な 字を つかいたくは なかったので、普通の クサカンムリを つかって いましたが。

  このような 異体字が コンピューター化に よって 一挙に 「ただしい」 字に なおされる ことに なります。 それは 大変 結構な こと なの ですが、問題は のこります。

  「正字」などに なおされる 「異体字」とは、正確に いえば、「誤字」と 「俗字」の うち 漢和辞典に のって いない もの などで あって、一般的で ない 字体が すべて とりのぞかれる と いう ことでは ないの です。

  戸籍で 氏・名に つかえる 「正字等」と して、「常用漢字」(厳密に いうと 「常用漢字表の 通用字体」)、「人名用漢字」、「康煕字典体 または 漢和辞典に おいて 正字と されて いる 字体」、そのほか 通達に よって 法務省が みとめた 字体 (「邉」、「」、“1点シンニョウの「辻」” など) が しめされて います。 が、それだけに とどまらず、「漢和辞典に 俗字と して のって いる 文字」の ほか “青ヘンの シタの 部分が 「円」で あるべき ところ 「月」に なって いる  もの”、“シンニョウの 点が フタツ ある べき ところ ヒトツ しか ない もの” なども つかう ことの できる 「俗字等」と して、さだめられて います。

  したがって、これからも 複数の 字体が ならんで つかわれて いくの です。 「ただしい」 字が ヒトツでは ないの です。 せっかく 異体字の 整理を すると いうのに これでは 不徹底で あると いわざるを えません。 こまかい ことを あげて いくと キリが ありませんので 比較的 わかりやすい 例を フタツだけ あげます。

  「国」は 新字体(常用漢字表の 通用字体)で あり、「國」は その 旧字体。 それに くわえて 「圀」も 「古字」と して 漢和辞典に のって いるので、これらは いずれも 「正字等」に ふくまれます。 さらに、“クニガマエの ナカが 「玉」で なく 「王」に なって いる もの”も 使用が みとめられた 「俗字等」に ふくまれて いるので オーケー と いう ことに なります。 したがって、あわせて 4字体が ひきつづき つかわれて いく ことに なります。

  「崎」は、いうまでも なく 正字 ですが、その 異体字 「ア」も 「正字等」に ふくまれます。 また それぞれの 「山」が ヒダリでは なく ウエに ある ものも おなじ アツカイを されますので、この 字種も あわせて 4字体が のこされます。

  ところで、自分の 氏名の 字体に こだわる ひとは すくなく ありません。 「ワタシの ミョウジの 『たか』は、『高』では なく 『』 です。 『さわ』は 『沢』では なく 『澤』 です。」、「『島』では なく 『嶋』です。」、「『辺』では なく 『邊』です。」 ・・・・・・

  この ひと たちは、「高沢」 では ダメで、「澤」 の ように 「ただしく」 かいて くれないと 不満の ようなの です。 しかし、本来 『高』と 『』、『沢』と『澤』 は おなじ 字。 ただ、デザインが ちがって いるだけ です。 たまたま 戸籍に その デザインの ものが のったに すぎません。

  自分の 氏名を ヒトに かいて もらう ときに「ただしい」 字を かく ように もとめる。 これは、アイテに とっては、あまり ありがたい ことでは ありません。 なぜならば、タイテイの バアイ、その ひとの ミョウジが 「たかざわ」さんで ある ことが わかれば それで ジュウブン なので あって、字体 などは、どうでも いい こと だから です。

  だからと いって、 その ひとたちを せめるのは スジチガイ でしょう。 かれらも また、おなじ 字種に 字体が いくつも ある ことの ヒガイシャ なの です。 戸籍に 旧字体が のって いる ために 画数の おおい むずかしい 字を つかわなければ ならない。 新字体で かいて すむ バアイも あるが、そうで ない バアイも ある。 どちらの 字なのか きかれる ことも よく ある。 コンピューターでの ショリが ヤッカイ。 まちがえられる ことも おおい。 漢字を ならいはじめた コトモに どちらを おしえたら いいのか まよう。 など など。 あまり いい ことは ありません。

  せめられる べきは、戸籍の 字体の 整理を 中途半端に した 法務省 です。 新字体が これだけ ひろく つかわれて いる のに、戸籍には 旧字体などを のこした。 この ツミは、かるくは ありません。 モチロン この 背後には 復古主義の 勢力の 圧力が あった ワケで、法務省の 役人を せめても しかたが ないの ですが。

  戸籍の 氏が 旧字体などに なって いても、もうしでれば 新字体に なおす ことが できます。 希望する かたには、市区町村の 役所で テツヅキを する ことを おすすめ します。

 
  *1 平成2年10月20日付け法務省民2第5200号 法務局長、地方法務局長あて民事局長通達 「氏又は名の記載に用いる文字の取扱いに関する通達等の整理について(通達)」
  *2 平成16年10月14日付け法務省民1第2842号 法務局長、地方法務局長あて民事局長通達 「氏又は名の記載に用いる文字の取扱いに関する「誤字俗字・正字一覧表」について(通達)」


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