「カナノヒカリ」 935ゴウ (2007ネン ハル)

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国語国字問題Q&A

造語力に富む漢字の廃止を主張するのは愚かか?

                                             ユズリハ サツキ 


   
   漢字は、造語力に とんでいる。 漢字が 日本語の 語イを ゆたかな ものに して きたので あり、漢字を つかわなくては、日本語は まずしい ものに なるで あろう。 漢字の 廃止を 主張する など おろかな ことでは ないか。

  
 タシカに 漢字を 2字か 3字 くみあわせれば、コトバらしき ものが カンタンに つくれます。たとえば、なにかを へらす と いう 意味の コトバを つくる には 「減」と いう 字に 別の 字を つけくわえれば いいの ですね。「減額」「減量」の ように。

  現に、「減災」「減容」などの ような 辞書にも のって いない、あまり ナジミの ない コトバも すくなからず つかわれて います。「災害を 減らす」のが 「減災」、「容積を へらす」のが 「減容」 と いう ワケ です。この 調子で まだまだ つくれますね。「減脂」「減熱」「減染」「減犯」「減病」「減汚」「減暴」「減湿」「減光」・・・。

  このように 漢字を テキトウに くみあわせれば、いくら でも コトバが つくれる。漢字って 本当に 便利な もの ですね、漢字 あっての 日本語 なんですね・・・と 単純に いえるのか、ギンミする 必要は ない でしょうか。なるほど コトバらしき ものは かぎりなく つくれる けれども、それらが コトバと しての 十分な ハララキを して いるか どうかが 問題です。

  「減災」「減容」の タグイは、字を みれば 意味を ある 程度 推測できる でしょう。でも ハナシコトバでは 字が みえませんから オトで 判断しなければ なりません。「げんさい」「げんよう」で 意味が 通じますか? 文脈から いろいろ 字を おもいうかべて なんとか わかる ことも ある でしょうが、別の 同音の コトバと とりちがえたり、まったく 理解されない と いう オソレも おおいに あります。なぜなら、漢字の 音は ごく かぎられた もので あり(その 理由は ここでは 省略します)、おなじ ヨミの 字が タクサン あります。「げん」なら 「減」の ほかに 元、幻、玄、言、弦、限、原、現、源、厳 などが あり、オト だけでは 意味が わかりません。また、したがって、2字以上の 漢字コトバ(漢語)も 同音の ものが おおく なります。「げんさい」には 「減債」「減殺」、「げんよう」には 「言容」「厳容」「現用」などの 同音語が あります。

  このように 漢字で 造語を すれば その おおくが 同音異義語と なり、そうで なくても 字を みなければ 意味の わからない コトバと なります。こんな 造語は、コトバと しての 十分な 資格を そなえて いるとは いえません。中国語では、同音の 漢字が すくないので 漢字の 造語力が 発揮されるの ですが、日本語を 表記する 文字と しては、造語の 要素と しても 不適当な もの です。いわゆる 漢字の 造語力と いうのは 「減災」や 「減容」の ような 「デキソコナイの コトバ」を つくる チカラの ことで、本当の「コトバ」を つくる チカラでは ないの です。

  また、その 「デキソコナイの コトバ」を つくる「造語力」に しても、「日本語の 造語力」とは いいがたい ものです。漢字で 造語するには、目的語を 動詞の アトにおく(日本語の 語順とは 正反対!)と いう キマリが あります。たとえば、「額を 減らす」 のは、日本語の 語順に したがえば、「額減」と なる ところ ですが、実際は そうは ならず、「減額」と なります。造語の キマリに したがった 結果 ですが、この キマリとは 実は 中国語の 規則に ほかなりません。つまり、日本語は、文字(漢字)のみ ならず、造語法まで、中国語に 従属して いるの です。

  漢字コトバを ふやすのは もう やめましょう。日本語を 中国語から 独立させましょう。「減災」「減容」 などと いう コトバは いりません。「ワザワイべらし」「カサべらし」で いいでは ありませんか。日本語 本来の コトバ、ヤマトコトバを いかしてこそ、日本語を つかいやすい ユタカな ものに する ことが できるの です。

  (なお、漢字の 「造語力」の オカゲで タシカに 「デキソコナイの コトバ」は カンタンに つくれますが、安易な 造語の ために 不必要な コトバが ツギツギ うまれる 一方、不必要で あるが ために ツギツギに きえて いく、つまり コトバが 安定しない と いう 事実も 指摘して おきます。)


 【参考】 ◆漢字に 造語力が あるか (モモセ チヒロ 「カナノヒカリ」1977年8月号)